第6回 コーポレートガバナンスはここに注意しよう

IPOにおけるコーポレートガバナンスのポイントは、会社の機関がきちんと設計され、それぞれの機関が適切に機能しているかどうかです。

株主総会

定時株主総会は開催されていますか?

「わが社は株主といってもみんな親戚なんだから必要ないだろう」

そういうわけにはいきません。

会社法の規定に則って、株主総会を開催する必要があります。

そして、議事録を作成し、最低10年間は保管しておかなければなりません。

取締役会

取締役会は毎月開催されていますか?

「会社法では、3か月に1回でよかったんじゃないかしら?」

法律では確かにそうですが、上場企業となるとそういうわけにはいきません。

3か月に一度の開催ではタイムリーな意思決定や問題発見ができないからです。

取締役会を最低月1回は開催し、重要事項の決議はもちろん、各取締役から担当部門の状況などの報告が行われる必要があります。

そして、議事録を作成し、最低10年間は保管しておかなければならない点は株主総会と同様です。

取締役

取締役は、資格、構成、人数に注意する必要があります。

まず資格ですが、会社法に取締役の欠格事由に関する規定がありますので、それに該当する人は取締役となることができません。

次に構成ですが、同族の取締役は半数以下にしなければなりません。これは、身内に都合のよい意思決定が行われることを防止するためです。

また、上場企業は、原則として社外取締役を1名以上選任することが会社法で求められます。

さらに、バランスも重要です。各部門に責任者として取締役を置く必要がありますし、社外取締役が多すぎると機動的な取締役会の開催が困難になることも考えられます。

そして人数ですが、会社法上取締役会設置会社の取締役は3名以上と定められています。しかし上場企業となると4名以上が望ましいでしょう。これは、法律上の最低人数しかいない場合、何らかの理由で一人欠けてしまうと、新たな取締役を選任するために臨時株主総会を開かなければならないからです。

監査役、監査役会

会社法上、監査役にも取締役と同様の欠格事由が定められています。

加えて、上場審査では、取締役などの配偶者や二親等内の血族・姻族は監査役として不適格とされています。

そして、上場直前期には、常勤監査役を含む複数の監査役を置く必要があり、上場する時には、監査役会または監査等委員会を設置することが求められます(指名委員会等設置会社である場合は除く)。

監査役会は、監査役3名以上で組織し、半数以上は社外監査役でなければなりません。

監査等委員会の場合は、取締役監査等委員3名以上で、過半数は社外取締役であることが求められます。

上場審査においては、単に形式上の要件が満たされているかどうかではなく、取締役会で十分な議論が行われているか、監査役による監査が有効に機能しているかといった実質的な面まで審査対象となります。

しかし、それ以前に、能力や適性を持った取締役や監査役を選任することができるか、取締役や監査役の増加に伴う費用の増加に耐えうる業績の拡大が図れるかどうかがカギとなることでしょう。

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