第5回 コーポレートガバナンスについて知ろう

企業の不祥事があると、「コーポレートガバナンス」という言葉がニュースなどでよく聞かれます。コーポレートガバナンスとは、「企業統治」と訳されることが多く、企業の不正行為を防止し、健全に事業活動を続けられるようにする仕組みのことです。

上場審査においても、東証本則・マザーズでは「企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性」、JASDAQでは「健全な企業の統治および有効な内部管理体制の確立」が審査対象項目とされています。

非上場企業では、オーナー社長によるワンマン経営や公私混同が行われていることがよくあると思います。もちろん、法令や道徳に反していない限り、それが問題とされることはありません。むしろ、社長の絶対的な権力こそが、会社がうまくまわる仕組みになっているというケースも多いことでしょう。

しかし、上場企業となるとそうはいきません。

上場企業には、社会的存在として、世の中から求められる責任を果たしながら、発展・存続してゆくことが求められるからです。

ということで、上場審査におけるコーポレートガバナンスのポイントは、一言で言ってしまえば、「社長が暴走しない仕組みがきちんと確立されているか」ということです。

株主は、企業にお金を出資し、経営者に経営を任せます。しかし、任せっぱなしでは、自分の出資したお金がきちんと使われているのかどうかわからず心配になりますし、勝手なことに使われてしまっては困ります。そこで、定期的に経営者に状況を報告させるとともに、非常に大事なことは自ら意思決定を行う機会を設けます。

これが「株主総会」です。

また、経営を一人に任せたのでは、その人物が間違った決断をしてしまうかもしれませんし、自分勝手な経営を行うかもしれません。そこで、経営者を複数置くことにし、お互いを監督させることにしました。

これが「取締役」であり、「取締役会」です。

さらに、経営者がきちんと経営しているかどうかを第三者的にチェックする仕組みも作りました。

これが「監査役」であり、「監査役会」です。

この「株主総会」、「取締役会」、「取締役」、「監査役会」、「監査役」は、会社の「機関」と呼ばれ、機関がどう設計され、どのように運営されているかがコーポレートガバナンスの姿です。

したがって、上場審査におけるコーポレートガバナンスのポイントは、これらの「機関」が適切に設計・運営されているかどうか、ということになります。

次回は、それぞれの機関に求められる具体的なポイントを解説します。

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