第2回 IFRSリース基準(IFRS16)の概要

皆様こんにちは。リース会計かんたん解説!第2回はIFRSリース基準について説明していきます。

IFRSにおけるリース基準は従来IAS17号「リース」が適用されていましたが、2019年1月より全面改訂されたIFRS16号「リース」が導入されることになりました。今回から数回にわたってIFRS16号「リース」をわかりやすくポイントを絞って解説していきます。

1.概要

第1回で説明した通り、IFRS16号における特徴は何といっても、リース分類の変更にあります。従来のファインナンス・オペレーティングの2区分から使用権モデルによる1区分への変更が大きな特徴です。なお、当該変更は借手のリースに関するものであり、貸手については従来通り2区分が維持されています。

2.適用範囲

リースの定義に該当するもの。リースの定義は「資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」となっており、ある資産を一定期間お金を支払って利用するものといえます。

なお、以下のリースは他基準に会計処理の定めがあるため適用範囲外となります。

・生物資産(家畜、果樹等)…IAS41号「農業」

・知的財産のライセンス…IFRS15号「顧客との契約における収益」

・無形資産のリース…IAS38号「無形資産」

3.リースの識別

契約の開始時点で当該契約にリースが含まれているかどうか判断します。判断要素としては以下のものがあります。

(1)特定された資産があるか

ある資産を一定期間使用する権利であるので、その資産が特定されていなければなりません。例えば海外との通信を安全に行うため、特定の専用通信ケーブル1本を3年間リースする場合は本基準適用対象となりますが、あるケーブル3本を用いて1本分に相当する通信量を3年間提供する契約はリースとなりません。ケーブルという資産が特定されていないためです。

(2)使用を指図する権利

借手がどのようにその資産を使用するか決定する権利をもっていることが必要です。例えばある特定のコンテナ船を使ってある場所から特定の別の場所への貨物輸送を1年間に3回行う契約があるとします。この場合は、その輸送中以外は船舶を自由に使うことはできないことから使用を指図する権利を保有していないということになります。

4.契約の構成部分の分離

リース契約には、自動車のリースのように期間中の保守サービスも含んでいる場合があります。当該部分はリースを構成しないことから、その部分を分離する必要があります。リースを構成する部分をリース構成部分と呼び、それ以外を非リース構成部分と呼びます。但し、簡便処理(実務上の便法)として非リース構成部分を関連するリース構成部分に含めて処理することができるとされています(第15項)。

5.リース期間の決定

リース期間は契約期間に借手の行使確実な延長オプション期間と行使しないことが確実な解約オプション期間を加えた期間となります。契約時点で実質的にリースが存続すると考えられる期間となります。

次回は借手の会計処理について解説します。

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