上場準備では、組織づくりと並行して、社内規程の整備を進めることも重要な課題となります。
企業経営を効率よく健全に行うための体制が組織ならば、そのためのルールが規程であり、どちらもコーポレートガバナンスや内部統制の基本であるからです。
社内規程の整備は、まず、足りない規程を作ることから始まります。
ベンチャー企業などでは、定款と就業規則ぐらいしか作られていないということもあるのではないでしょうか。
必要な規程は、
- 組織に関する規程-取締役会規程、監査役会規程、業務分掌規程、職務権限規程など
- 人事労務に関する規程-就業規則、給与規程、退職金規程など
- 業務管理に関する規程-予算管理規程、株式取扱規程、関係会社管理規程、販売管理規程、購買管理規程、資産管理規程、会社情報管理規程など
- 経理に関する規程-経理規程、原価計算規程など
などが挙げられます。
これらは比較的、多くの企業に共通して必要とされる規程ですが、執行役員制度のある企業では執行役員規程が必要であったり、外注先がある企業では外注管理規程が必要であったりと、整備しなければならない規程は各社各様です。
したがって、規程の整備では、規程が、当然内容も含めて、自社の実態に即したものとなっているかどうかがポイントとなります。
規程の整備でもうひとつ重要なポイントは、法令の改正や企業のステージ、規模、組織などの変化に応じて、適宜見直しが行われているかどうかです。
そのため、各規程を管理する部署や規程改定の手続などもあらかじめ明確にしておく必要があります。
また、最近では、ハラスメントの防止に関する規程やプライバシーの保護に関する規程といったコンプライアンス関係の規程の必要性も高まっています。このように、時代や環境の変化で新しい規程が必要となることもあります。
上場審査では、実務が規程に沿って行われているかどうか、すなわち規程の運用についても審査対象となります。
規程はそれぞれの企業にとっての法律のようなものですから、社長や他の役員も含めて全社員が遵守しなければなりません。そのため、新しい規程ができたり、規程が改定されたりした時には全社員に周知されるよう、その仕組みを作っておくことも忘れないようにしましょう。