第12回 J-SOXの準備をしよう

上場企業は年に1回、「有価証券報告書」を作成し、監査法人の監査を受けなければいけません。

併せて「内部統制報告書」も作成し、こちらも監査法人の監査を受ける必要があります。

この企業が「内部統制報告書」を作成し、監査法人の監査を受けたうえで、外部に公表する制度のことを「内部統制報告制度」と言い、一般的にはよく“J-SOX(ジェーソックス)”と呼んでいます。

 

新規上場の場合は、上場後最初の決算日後3か月以内に内部統制報告書を提出しなければならない(※)ため、上場審査においては、J-SOXの準備状況も確認の対象となります。

 

※上場後3年間は監査法人の監査の免除を選択することも認められています。ただし、資本金100億円以上または負債1,000億円以上の企業は免除の対象外です。なお、監査法人の監査だけが免除であり、内部統制報告書の提出が免除ではないことにご注意ください。

 

J-SOXには次のような特徴があります。

 

第一に、内部統制の目標にはいろいろありますが、J-SOXが対象とする内部統制は、“財務報告に係る内部統制”となります。簡単に言うと、適正な決算を行うための内部統制です。

第二に、経営者には、“財務報告に係る内部統制”の整備・運用のみならず、自ら評価(テスト)を行うことまで求められています。

第三に、“財務報告に係る内部統制”の内容や評価の方法、評価結果などを文書として記録し、残しておく必要があります。

 

上場準備では、これらの特徴を踏まえてJ-SOXへの対応を進めてゆくこととなります。

 

そして、J-SOXの準備を進めるうえでの重要なポイントは、まず、全社を挙げて取り組むことです。

“財務報告に係る内部統制”、すなわち、適正な決算を行うための内部統制と聞くと、経理部門の中での内部統制をイメージしがちですが、売上は受注からスタートしますし、購買や製造の結果が在庫となります。そのため、営業部門や製造部門の内部統制も対象となることから、あらゆる部署の理解や協力がなければ、J-SOXの準備はうまく進みません。

したがって、担当者任せではなく、トップダウンにより全社を挙げて取り組むことが非常に重要となります。

 

また、専門知識を持つ、制度の趣旨を十分に理解した人材の確保も重要なポイントとなります。

上場準備を始めたばかりの企業では、“財務報告に係る内部統制”が十分でないことが通常であり、新たなコントロールを追加することにより、少なからず業務に影響が出ることは避けられません。

その中で、効率性の犠牲を最小限に抑えながらも効果のあるJ-SOX対応を行うためには、制度に精通した人材が主導して進めることが不可欠となります。

もっとも、社内でそういった人材を見つけることが難しい場合には、外部の専門家にアウトソーシングすることもひとつの方法でしょう。

 

 

そうせい監査法人でも、内部統制構築支援や内部統制監査に豊富な経験を持つ公認会計士によるJ-SOX支援サービスを提供していますので、お気軽にご相談ください。

IPOの道しるべ(上場までにすべきこと)カテゴリーの記事