代表社員 座談会
司会
みなさん、こんにちは。司会のタハラです。今日はそうせい監査法人の代表社員に集まってもらい、彼らの監査法人運営に対する熱い想いを聞きながら、昨今の監査業界の諸問題に深く切り込んでいきたいと思います。
「そうせい監査法人」の成り立ち
司会
そうせい監査法人の代表社員の皆様本日はよろしくお願いいたします。
早速ですが、まず“そうせい”という名称の由来といいますか、その意味を教えていただけないでしょうか?
久保田 代表社員
「そうせい」は、漢字では「創世」、つまり世の中を創っていく役割を担う存在、その時代をリードする存在になろうという意味を込めています。監査法人は、証券市場を通じて、そして市場に参加するさまざまな方を通じて、社会インフラの一部として資本市場をバックアップするという立場にあるわけですが、社会インフラの一部としての役割だけでなく、日本の、そして世界の公正な発展にも寄与していきたい、そんな想いで命名しました。
司会
世の中の公正な発展に貢献していく、相当な覚悟だと思いますが、そのためにそうせい監査法人のような新しいタイプの監査法人が必要だったというわけですか?
久保田 代表社員
そうですね。監査法人の社会的責任がますます重くなる昨今、ともすれば、監査法人は自らに課された使命、すなわち、自らの専門知識を社会に還元し、もって社会の発展に寄与するということを忘れ、自らの保身に終始しがちです。
もちろん、すべての監査法人やそこに勤める公認会計士がそうというわけではないですが、わたしたちは、いったんそのような流れから距離をとって、純粋に公認会計士に求められる役割を追求していく、クライアントや社会のためになる監査をしていくという原点に立ち返って、それを追求していこう考えています。
監査への期待に応えるということ
司会
特にここ数年は、監査に対する見方が厳しくなったり、期待が大きくなったりしていますね。
木村 代表社員
そうなんです。監査法人による粉飾の見逃しといった事案が明るみに出るたびに、世間の監査法人に向けられる目が厳しくなり、それに呼応するように監査法人への規制もますます強化される。
すると監査法人としては、どうしても新しい監査手続を増やしたり、判断を厳しくしたりせざるを得ないんですね。
司会
ルールが厳しくなったら監査手続も強化される、それは仕方ない、というよりむしろ必要なことなんじゃないですか?
木村 代表社員
まさにそこなんです。私たち監査人が、例えば新しい監査手続を行うことにすると、クライアントの負担も増えます。当然、監査人は必要だから監査手続を増やしているわけですが、その理由が「ルールが厳しくなったから」、そんな説明ではクライアントの納得感を得られないでしょう。それに、監査手続もただやみくもに増やしたり、厳しくしたりすればいいというものではありません。不正や誤謬(誤り)のリスクが高い分野には多くの監査資源を投入し、そうでない分野は効率的に監査を実施する、そういったメリハリが必要だと思うんです。
司会
ということは、どの分野のリスクが高いのかを判断することが重要になってくるんですね。
木村 代表社員
その通りです。企業の実態からかけ離れて、ただ時間ばかりかける監査をやっていても意味はありません。
司会
では、そのリスクの判断のために重要なことは何だと思いますか?
大髙 代表社員
一番はコミュニケーションですね。クライアントの皆さんと十分にコミュニケーションをとっていれば、クライアントの企業風土や事業に対する監査人の理解の深度も増し、それによって適正な監査手続の設定が可能になります。それに、監査手続を増やさなければならないときでも、コミュニケーションの一環として、そのバックグラウンドを含む必要性をきちんと説明してクライアントの納得感を得ることができるわけです。
コミュニケーションこそがすべての出発点
司会
そうせい監査法人では、そのコミュニケーションを大事にするということですね。
大髙 代表社員
そうです。最近の監査はパソコンを使用することが当たり前ですが、パソコンとにらめっこをするだけでは本当に必要な情報は得られません。経営者をはじめ、クライアントのさまざまな階層、役割の方とコミュニケーションをとってクライアントを徹底的に理解し、必要な監査手続を必要な分だけ納得いくまで行います。きちんとコミュニケーションがとれていれば、クライアントの方々も何をやっているのかわからないなんてこともないですからね。
司会
確かに一日中会議室から出てこない会計士の先生もいますね。帰りにお見送りをするとき、あの先生は今日は何されていたんだろうと気になることはあります。
大髙 代表社員
あれ?タハラさんっていったい……
司会
パソコンが万能のツールというわけではないんですね。
木村 代表社員
当然です。
監査というのは理論的な背景をしっかりと持つサービスですから、監査手続にはいつもそれが必要な根拠が明確にあります。監査手続に対してクライアントが疑問に思う時には、しっかりとその根拠を説明して、その必要性を十分理解していただきながら、監査は進められるべきなんです。
しかし、監査の文書化ばかりがクローズアップされるようになって、文書を作ることばかりに没頭してしまい、コミュニケーションを後回しにするようになってきました。データのやり取りで済むことも多くなったこともコミュニケーションが減ってきた一因でしょうか。
コミュニケーションをすっ飛ばして、文書化・文書化では、本末転倒ですし、クライアントの理解も得られないでしょう。
菊池 代表社員
監査チームの中でも同じようなことが起こっていますね。
司会
とおっしゃいますと。
菊池 代表社員
最近は、監査手続の結果である監査調書もパソコンの中に格納されていて、監査チームの他のメンバーがその場にいなくてもその監査調書を見られることが一般的なんです。
司会
便利じゃないですか
菊池 代表社員
そうなんです。ただ、便利な反面、気をつけなければいけないこともあるんです。監査調書というのはだいたい現場の監査スタッフが作成して、それを最終的に業務執行社員という監査報告書にサインをする責任者がチェックするんですが、言い換えると、監査現場に来なくても、スタッフとコミュニケーションをとらなくても、監査調書をチェックできてしまうということなんです。
司会
つまり、監査チーム内のコミュニケーションが欠如してしまうというわけですか?
菊池 代表社員
企業は生きたリアリティのある存在ですから、パソコンに落とされた文書だけでは理解しきれないところがあります。ここでもやはりコミュニケーションが大切なんです。
司会
そうせい監査法人では、監査チーム内のコミュニケーションも重要視するわけですね。
菊池 代表社員
そうです。コミュニケーションは監査におけるすべての出発点です。
監査の品質管理を高いレベルで実現
佐藤 代表社員
制度的にもコミュニケーションが減少し、クライアントのことを理解する機会が減少してきていますね。
司会
どういうことですか?
佐藤 代表社員
典型的な事例として、J-SOX(内部統制報告制度)の弊害が挙げられるのではないでしょうか。
J-SOXの導入により、上場企業には内部統制に関する文書化が求められるようになりました。つまり、企業自らが業務フローから業務リスクを洗い出し、主要なリスクに対する内部統制を構築し、それらを自らチェックして、その一連の流れ文書化することが求められるようになりました。
司会
その当時、相次ぐディスクローズに関する不祥事への対策として、導入された制度ですよね。
佐藤 代表社員
もちろん、J-SOXにより内部統制が強化され、不祥事に対する一定の効果があることは否定しません。ただ、それまでは監査人が、クライアントの担当者にヒアリングをし、「ここが大事なコントロールですね」とか言いながら、内部統制を理解し、自ら文書化していましたが、J-SOX導入後は、クライアントが作成した内部統制に関する一連の文書をもらえるようになってしまいました。その結果、監査人がクライアントを深くまで理解し、あるべき内部統制を考察するといった機会が減ってしまったことは事実でしょう。もちろん、環境や意識により、影響は人それぞれでしょうけど。
司会
J-SOXは、趣旨を正しく理解しなければ、企業側も表面的なチェックで終わってしまいがちですからね。
佐藤 代表社員
おっしゃる通りです。内部統制は企業にとっての足かせなんかでは決してなく、企業自身や働く従業員を守るために必要なものです。ただ、使い方を間違えれば、効果が上がらないどころか、マイナスになってしまいますからね。私たちはその点にも力を入れて、日々の監査現場でクライアントと接していきたいと考えています。
司会
現場重視と考えてもいいのでしょうか?
木村 代表社員
そうですね。会計処理や開示のルールは、案外絶対的な基準は少なくて、多くは相対的なものなんです。監査というのは、クライアントの会計処理や開示をそのルールに従って判断するサービスですから、現場で何が起こっているのかを理解しないと正しい判断はできません。
そういう意味では、最終的に監査の全体的な判断を行うのは業務執行社員ですから、私たちは、業務執行社員自らが現場責任者となり、監査現場に深く関与することにより、クライアントの期待に応えるとともに、公認会計士に対する社会の要請に応え得る、高いレベルでの監査の品質管理を実現していきたいと考えています。
適正な報酬で最高品質の監査サービスを
司会
品質管理という面では、現場だけでなく、監査法人としての審査機能の充実させる必要があるのではないでしょうか。
大髙 代表社員
タハラさんのおっしゃる通りです。ただ、審査機能の充実というのは、なにも審査部門の権限を強化すれば達成できるというものではありません。クライアントをとことんまで理解した監査責任者とクライアント業務からは独立した客観的意見を持つ審査担当者が徹底的に議論し尽くすことが、充実した審査であり、監査法人としての品質管理なのではないでしょうか。
司会
なるほど。そういう仕組みだと、監査現場の意見が、後であっさり覆ってしまうというようなことも起こらなさそうですね。
大髙 代表社員
当然です。私たちは、少数精鋭で、一人ひとりが当事者意識を持って個々の業務にあたっていますからね。これにより、高い品質管理だけでなく、柔軟なスケジュールや効率的な現場作業といったことも実現できます。
司会
でも、業務執行社員が現場責任者ということは、業務執行社員の関与時間が増えて、監査報酬がお高くなってしまうんじゃないんですか?
菊池 代表社員
まさか。その反対です。私たちは全員が職業的会計人としての高いスキルを持っているうえに、大きな本部機能もなく、監査法人内部の調整なども必要ありませんから、結果的に作業時間は少なくて済むんです。つまり、クライアントの規模に見合った適正な監査報酬で最高品質の監査サービスを提供することができる、それが私たちそうせい監査法人なんです。
司会
これだけ高い志を持ったメンバーが運営する監査法人ですから、これからの活躍がますます楽しみですね。
最後までご覧いただいた皆様、貴重なお時間どうもありがとうございました。