未上場の中小企業では、すべてが社長の指示で行われ、社長以外は全員平社員というような姿もよく見られます。
「それで会社がうまくいっているならいいじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、上場企業となるとそれは許されません。なぜなら、その社長がいなくなったら会社が傾いてしまうというのでは困るからです。
そしてこれは社長に限らず、営業部長であっても、経理の担当者であっても同じことが言えます。
そのため、上場企業には組織的な経営が求められ、上場審査でもその点は重要な審査項目になりますし、IPOを目指す企業にとって大きな課題になることも珍しくありません。
とはいえ、望ましい組織の形は、企業のステージや規模、業種、経営者の方針などによってさまざまであり、正解はありません。ただし、どのような組織にするにしても、押さえておかなければならないポイントがありますので、今回はそれをご紹介しましょう。
まずは、当然ですが、効率的な経営活動ができる組織でなければいけません。
部門や階層ごとの職務や権限と責任を明確にし、適材適所の人員配置を行っているかどうかがポイントです。
一方で、部門間や部門内で牽制が効く組織であることが重要となります。
営業部長が管理部長を兼任しているといった部署横断的な兼務は認められませんし、経理と財務、記帳と出納は部署や担当者を分けなければなりません。
そして、管理部門を強化することもポイントとなります。
一般的に管理部門は利益に直接貢献しないということでおろそかにされがちですが、本来は現場をサポートして経営をより効率化したり、不正や不測の事態から企業を守ったりする非常に重要な役割を担う部門です。上場後はそうした役割がますます重要になるばかりか、ディスクロージャーやIR活動などに高度な専門知識が必要となるため、管理部門の充実・強化は不可欠です。
このような課題に対応するためにはコストもかかりますし、発想を転換する必要があるかもしれません。正解がないだけに、組織づくりは難しい問題なのではないでしょうか。